ストライクゾーンの高さを知りたいと考えたとき、多くの人は「上は何cmで下は何cmなのか」という固定の数字を探しますが、野球ではそこが最初のつまずきやすい点で、ルール上の高さは打者の体格と構え方によって変わるため、単純な数値だけでは実戦にも練習にもつながりません。
Official Baseball Rulesや高校野球の審判資料を確認すると、ストライクゾーンの上下は打者の肩まわり、ズボン上部、膝まわりを基準に決まる考え方が示されており、最初から最後まで「固定寸法ではなく打者基準」で理解することが重要だとわかります。
ところが練習用品の世界では、ネットに取り付けるターゲット、独立型のフレーム、9分割の的、移動式の大型ネットなど形がさまざまで、見た目は便利でも、選手ごとの高さ合わせをせずに使うと、狙うべき高低差より「とりあえず枠に当てる練習」へ変わってしまいやすいのが難しいところです。
ここではストライクゾーンの高さの考え方をルール面から整理したうえで、野球練習用品としてどう再現すれば上達につながるのか、どんな器具が向いているのか、少年野球から一般まで共通する失敗の防ぎ方は何かまで、実践で使いやすい形に落とし込んで解説します。
ストライクゾーンの高さは打者ごとに変わる
最初に押さえたい結論は、ストライクゾーンの高さに全員共通の絶対値はなく、同じ球でも打者が違えば高めにも低めにもなり得るということです。
そのため、練習用品を選ぶときも「標準サイズだから安心」と考えるより、どこまで高さ調整できるか、あるいはどこまで選手ごとに設置を変えられるかを見たほうが、結果として実戦に近い練習になります。
特に小学生から中学生へ成長する時期や、同じチーム内でも身長差が大きい場合は、ストライクゾーンの高さを固定物として扱わず、毎回の基準合わせを前提にする視点が欠かせません。
公式の上限は肩とズボン上部の中間で決まる
ストライクゾーンの上限は、打者の肩の上部とユニフォームのズボン上部との中間に引いた水平ラインという考え方で整理されるため、帽子の高さや胸の文字位置ではなく、打撃姿勢を取ったときの上半身の基準点から判断されます。
この定義で大切なのは、上限が「胸の真ん中あたり」などの感覚的な表現ではなく、肩とズボン上部の中間という相対的な基準で示されている点で、身長が高い打者、猫背気味の打者、やや深く構える打者では見た目の高さがかなり変わります。
観戦中に「今の球は高すぎるのでは」と感じる場面があっても、打者の肩が下がっていたり、上体が前に入っていたりすると、球審から見た上限は意外と下がっており、テレビ画面の印象だけで判断するとズレが生まれやすくなります。
練習用品でこの上限を再現したいなら、まず選手に普段の打撃姿勢を取らせてから、肩とズボン上部の中間付近を目安に印をつけ、その線より上は無理に狙わないよう高めの基準を作るほうが、数字だけで合わせるより再現性が高まります。
つまり高めの練習とは、誰にでも同じ高さへ投げることではなく、その打者にとって有効な高めへ投げ分けることなので、器具の高さ設定より先に「誰のゾーンを作るのか」を決める必要があります。
下限は膝頭の下部を基準に考える
ストライクゾーンの下限は膝頭の下部のラインが基準になるため、低めを判断するときは「地面から何cmか」よりも、打者が構えたときにどの膝まわりがどこへ来ているかを見たほうが正確です。
低めは特に誤解されやすく、捕手が地面近くで止めた球を見ると明らかなボールに見えやすいのですが、実際の判定は捕球地点ではなく本塁上を通過した時点が基準なので、通過時に下限をかすめていればストライクになり得ます。
小柄な選手や深くしゃがむ打者では、下限が大人より高く見えることもあり、逆に立ち気味の打者では想像以上に低めまでストライクと感じるため、打者ごとの差がもっとも体感しやすいのがこの低めのラインです。
練習用品では、低めだけを狙う練習を続けると枠の下辺へ当てること自体が目的になりやすいので、下限の少し上へ集めるのか、あえてゾーン下端を通すのかを分けて使うと、コントロール練習の質が上がります。
低めを合わせるときは、ボールがネットに当たった位置だけを見るのではなく、手前でどの軌道を通ったかまでイメージできる設置距離にすることが、実戦感覚を失わないコツです。
構えが違えば同じ球でも高さの評価は変わる
ルールではストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきとされるので、同じ身長の選手でも、ノーステップ気味に低く構える打者と、上体を立てて待つ打者では、実質的な高低の感じ方が変わります。
この考え方は、打者が極端にかがんで意図的にゾーンを狭く見せようとした場合でも、その姿勢をそのまま採用するとは限らないという意味合いも含み、球審は「本来その打者が打ちにいく姿勢」を基準に見ています。
だからこそ練習でターゲットを設置するときに、選手がリラックスして直立した状態で高さを決めてしまうと、実際の打撃姿勢とかけ離れた枠ができ、試合で見える高低差とズレた練習になりやすくなります。
特に少年野球では、練習前後で疲れ方や集中力によって構えが変わりやすく、同じ選手でも日によって高めの見え方が違うため、器具を設置したら一度素振り姿勢を取らせ、目線と肩の位置を見て最終調整するのが有効です。
高さを学ぶ練習とは、物理的な枠を覚えることではなく、自分の構えとゾーンの関係を理解することなので、鏡や動画で姿勢を確認しながら使える練習用品ほど価値が高いといえます。
右打者と左打者では低めを見る基準も意識したい
高校野球の審判資料では、低めを考える際の膝は投手側に向く前側の膝を基準に見る整理が示されており、右打者なら左膝、左打者なら右膝を意識すると、低めの見方が安定しやすくなります。
この違いを無視して左右打者へ同じ見え方でターゲットを合わせると、特にオープンスタンス気味の選手や前足をやや曲げて待つ選手では、見た目の下限と実際に振りにいける低めの感覚が噛み合わなくなることがあります。
捕手側や保護者席から見ると左右打者の膝の入り方は意外と見分けにくく、「さっきと同じ高さにしたつもり」が実は前側の膝との関係で変わっていることも多いため、器具の位置決めを担当する人が基準を言語化しておくと混乱を防げます。
チーム練習では、右打者設定と左打者設定を支柱のテープ色で分けたり、下限を合わせるときだけ前足の膝位置を確認するルールを作ったりすると、短時間でも設定の質が上がり、毎回のやり直しが減ります。
左右で見え方が違うと理解しておくだけでも、単なる「高い低い」の二択ではなく、誰に対する高さなのかという視点が生まれ、練習用品の使い方が一段深くなります。
少年野球では身長差と成長差でズレが大きくなる
少年野球でストライクゾーンの高さが難しいのは、同学年でも身長差が大きく、さらに成長期の前後で構えの深さや体の柔らかさまで違うため、同じ器具を同じ設定で使うと、誰かには適正でも誰かには極端に高い、あるいは低い練習になるからです。
小柄な選手に大人寄りの高さで固定したターゲットを使わせると、高めを上げる癖や腕だけで合わせる癖がつきやすく、逆に大きな選手に低すぎる設定を続けると、リリースが下がりすぎて本来の投げ方を崩すことがあります。
このため学童世代では、器具の頑丈さや見た目の派手さ以上に、高さを細かく変えられること、短時間で上下を動かせること、別の選手へ交代したときに基準を再現しやすいことが重要な選定ポイントになります。
一台をチームで共有する場合は、全員共通の絶対値を作ろうとせず、低学年用、高学年用、中学生用のように大まかなプリセットを決め、その中でさらに個別調整する運用にすると、現場での使い勝手が大きく向上します。
成長差が大きい時期ほど「標準サイズ」の言葉に頼らず、実際の打撃姿勢へ合わせるという原則を守ったほうが、長い目で見てフォームもコントロールも崩れにくくなります。
テレビの見え方と球審の判定がずれるのは珍しくない
ストライクゾーンの高さに違和感を覚える大きな理由のひとつは、私たちが見る映像や捕球位置と、球審が本塁上で見る通過位置が同じではないことで、特に変化球では最後の見た目だけで高低を判断するとズレやすくなります。
外れて見える球がストライクになるのは、手前ではゾーンを通っていて、そこから曲がって捕手のミットが外へ動いたケースがあるからで、ネットや的に当たった位置だけを見て評価する練習は、実戦の判定感覚と必ずしも一致しません。
また中継に表示される枠は視覚的にわかりやすい反面、打者ごとの細かな構えやカメラ角度、立体的な通過位置までは完全に再現できないため、あくまで目安として捉えたほうが混乱が少なくなります。
練習用品でも、正面から見た枠にボールが当たったかどうかだけで良し悪しを決めるのではなく、投球の入り方、リリースポイント、狙った高さとの差をセットで振り返ると、テレビ感覚ではなく実戦感覚へ近づけます。
見た目の派手な的ほど便利に感じますが、判定の仕組みを理解せずに使うと「当たったからストライク」という単純化に陥りやすいので、器具はあくまで高さ再現の補助と考えるのが健全です。
練習では固定寸法より再現性の高い設定が大切
ストライクゾーンの高さに万人共通の正解がない以上、練習で本当に求めたいのは固定寸法ではなく、同じ選手に対して毎回ほぼ同じ高さを再現できること、そして成長やフォーム変化に合わせて更新できることです。
たとえば自宅練習なら、選手に打撃姿勢を取らせた状態で上限と下限の目安を支柱やネット横へメモし、次回も同じ印から始められるようにしておくと、毎回ゼロから悩まずに済み、家族でも設定を共有しやすくなります。
チームでは一人ひとりへ完全個別対応するのが難しくても、名前付きの目印、年齢帯ごとのメモ、投手別の狙いゾーン表などを作れば、練習用品の高さ合わせが属人的にならず、指導のばらつきも減らせます。
市販品でも高さ3段階調整のネットや後付けで高さ調節できるターゲットが見られるように、最近の練習用品は調整前提のものが増えているため、固定枠しか見ない選び方は少しもったいない状況です。
実戦で生きるのは「この選手に対する高めと低め」を再現できる力なので、器具の数字より設定の再現性を重視したほうが、練習成果は着実に積み上がります。
練習用品で高さを再現する方法
ここからはルール上の考え方を、実際の練習用品へどう落とし込むかを整理します。
ポイントは、最初に選手基準のゾーンを作り、そのあとで器具のタイプに合わせて調整幅や設置方法を選ぶ順番にすることです。
この順番を逆にして器具ありきで考えると、使いやすいけれど狙いがずれた練習になりやすいため、まずは再現方法の型を持っておくと失敗しにくくなります。
最初に選手ごとの基準線を作る
高さを再現する最初の作業は、選手にいつもの打撃姿勢を取らせ、上限の目安と下限の目安を確認してから、それをネットの支柱や周囲のテープ位置へ落とし込むことで、器具の種類に関係なく共通で行えます。
このときメジャーで地面から何cmかを測ってもよいのですが、数字そのものを正解にするのではなく、その日の姿勢と体格から作った基準を記録するつもりで使うと、成長後の見直しにも対応しやすくなります。
自宅練習では、上限用の印と下限用の印を色違いにし、さらに中央付近の印も足しておくと、高め狙い、真ん中狙い、低め狙いをすばやく切り替えられ、毎回の設置時間を短くできます。
成長期の選手は数か月で見え方が変わることも珍しくないので、シーズン開始時だけでなく、学期の変わり目やフォーム修正後に基準線を見直す習慣をつけると、器具が古い設定のままになる失敗を防げます。
高さ調整できるターゲットは複数人で使いやすい
ネットへ後付けするストラップ型のターゲットや、高さを数段階で変えられる独立型のストライクゾーン器具は、学年差や体格差がある環境でも使い回しやすく、ひとつの器具を家族やチームで共有したい場合に特に相性がよいタイプです。
実際に市場では、支柱全体の高さを変えるタイプ、取り付けるターゲットだけ上下へ動かすタイプ、9分割の的を面ファスナーやフックで付け替えるタイプなどが見られ、同じ「高さ調整可」でも使い勝手はかなり異なります。
- 学年差が大きい環境でも対応しやすい
- 右打者と左打者の設定変更がしやすい
- 高めと低めの課題別に使い分けやすい
- 一台で投手練習と打撃補助を兼ねやすい
反面、調整機構が多いほどぐらつきや固定の甘さが出ることもあるため、強い球を受ける頻度が高いなら、耐久性や固定方法、屋外で風を受けたときの安定感まで確認しておかないと、狙い以前に毎回ずれる器具になりかねません。
複数人で使う前提なら、高さ調整ができるだけでなく「前回の設定へ戻しやすいこと」まで含めて選ぶと、現場で本当に使える練習用品になります。
固定フレームは基準作りに向くが運用で工夫が必要
固定フレーム型の器具は、高さの自由度では可変式に劣るものの、設置が早く、毎回同じ枠をすぐ出せて、打球や投球が当たった感触もわかりやすいため、特定の選手や一定の学年帯へ集中して使う場面では十分に実用的です。
大切なのは固定フレームを万能だと思わず、誰向けの基準として置くのかを明確にし、必要なら地面側に台を入れる、フレームの周囲に補助ラインを足す、別のターゲットを重ねるなど、運用で個別性を補うことです。
| 設置方式 | 向く場面 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 固定フレーム | 同じ選手の反復 | 設置が速い | 体格差へ弱い |
| 可変フレーム | 家族やチーム共有 | 高さを変えやすい | 固定の確認が必要 |
| 後付けターゲット | 既存ネット活用 | 省スペース | ネット側の張りでズレる |
固定型を選ぶなら、買った瞬間の完成度よりも、あとから補助目印を足しやすい構造か、家庭用ネットや防球ネットへ組み合わせやすいかを見ると、長く使いやすくなります。
ストライクゾーン練習用品の選び方
練習用品を選ぶときは、見た目のわかりやすさだけで決めず、どのように高さを再現し、どういう課題を解決したいのかから逆算することが大切です。
特にストライクゾーンの高さを扱う器具では、高さ調整幅、枠の見やすさ、設置性と安全性の三つが満たされているかで、使い続けられるかどうかが大きく変わります。
ここを押さえておくと、価格だけで選んで後悔したり、想定より大きすぎて置けなかったり、練習内容に合わず結局使わなくなったりする失敗を減らせます。
最優先で見るべきは高さ調整のしやすさ
ストライクゾーンの高さをテーマにした練習用品では、最優先で確認したいのは「何cm動くか」そのものより、「短時間で迷わず上下を変えられるか」と「前回と同じ位置へ戻せるか」で、この二つが弱いと調整機能があっても現場で使われなくなります。
段階式ならプリセット化しやすく、連続穴やベルト式なら細かな微調整に向きますが、細かく動くほど再現に時間がかかることもあるため、使う人数と頻度に合わせて選ぶほうが合理的です。
| 確認項目 | 見るポイント | 向く人 |
|---|---|---|
| 段階調整 | 切り替えが速い | チーム共有 |
| 無段階調整 | 細かく合わせやすい | 個人練習 |
| 目印の有無 | 再設定しやすい | 家族運用 |
| 支柱の剛性 | 高さがずれにくい | 強い球を投げる選手 |
購入前に高さの数字だけを見るのではなく、調整ノブの位置、穴の間隔、固定ベルトの締めやすさ、設置後に印をつけられるかまで想像すると、実際に使う場面でのストレスがかなり減ります。
一人で使うのか、親子で使うのか、チームで回すのかによって最適解は変わるため、「調整できる」より「調整が続く」かどうかを基準に選ぶのが失敗しにくい考え方です。
枠の見やすさで狙い方が変わる
同じ高さ設定でも、枠線が太いか細いか、中央が見やすいか、9分割のようにコースが細かく区切られているかによって、選手の狙い方は大きく変わり、コントロール練習の質にも差が出ます。
初心者や低学年では、まず大きな外枠で高低の感覚をつかみ、そのあと中央や四隅を狙う段階へ進んだほうが成功体験を作りやすい一方で、最初から細かい区画だけを意識させると、腕だけで合わせる投げ方が強くなることがあります。
逆に実戦的な投げ分けをしたい中学生以上やコントロールに課題がある投手では、単なる一枚枠よりも、上下の境界やコースの目印がはっきりしたターゲットのほうが、狙いのズレを言語化しやすく、修正の精度も上がります。
見やすい器具は上達を早めますが、見やすすぎると実戦より楽になる面もあるため、基礎段階では太い枠、応用段階では細い枠や部分的な的へ移るなど、練習レベルに応じた選び方が理想です。
設置性と安全性が低い器具は結局続かない
どれほど高さを合わせやすくても、組み立てに時間がかかる、重すぎて運べない、室内では跳ね返りが危ない、屋外で風に流されるといった問題があると、練習のたびに出すのが面倒になり、使用頻度が下がって効果も薄れてしまいます。
特に自宅練習では、限られたスペースで短時間に出し入れすることが多いので、折りたたみやすさ、支柱のロックのわかりやすさ、ボールの跳ね返り方、周辺の壁や窓との距離まで含めて考える必要があります。
- 一人で持ち運べる重さか
- 設置後にぐらつかないか
- 屋内外の両方で使えるか
- 跳ね返りや転倒の危険が少ないか
安全性が高い器具は派手さが少なく見えることもありますが、継続して使えること自体が練習効率を大きく左右するため、結果としてもっともコストパフォーマンスが高くなりやすい選択です。
高さを合わせることだけに気を取られず、設置のしやすさと安全の確保まで含めて選ぶと、器具が練習の負担ではなく習慣化の助けになります。
高さ合わせで起こりやすい失敗を防ぐ
ストライクゾーンの高さを意識し始めると、多くのチームや家庭で共通して起こる失敗があります。
それは、器具を導入したことで高さの問題を解決した気になり、設定の見直しや使い方の工夫を止めてしまうことです。
ここでは上達を遠回りさせやすい代表的な失敗を整理し、練習用品を無駄にしないための防ぎ方を確認します。
一度合わせた高さを長期間そのまま使う
もっとも多い失敗は、最初に合わせた高さを正解だと思い込み、選手の成長やフォーム変化、打撃姿勢の変化があっても、器具の設定を何か月も更新しないことです。
成長期の選手は身長だけでなく骨盤の高さや前傾姿勢も変わるため、数センチの違いでも高め低めの見え方が大きく変わり、古い設定のままでは「最近高めに抜ける」「低めへ引っかける」といった原因を見誤りやすくなります。
- 身長が伸びた時期
- フォームを変えた直後
- 打撃姿勢が深くなった時期
- 高低のミスが急に増えた時期
こうしたタイミングで設定を見直すだけでも、器具の効果は大きく変わるので、月に一度でもよいから高さ確認の日を作ると、練習のズレを早めに修正できます。
練習用品は置きっぱなしにするほど便利に見えますが、ストライクゾーンの高さに関しては、見直し続ける運用まで含めて初めて意味を持つと考えたほうが適切です。
捕球位置だけでストライクかどうかを判断する
器具へボールが当たった位置や、捕手役のミットに入った位置だけで高低を判断してしまうと、本来は本塁上の通過位置で考えるべきストライクゾーンの感覚が身につかず、変化球や伸びのある球で評価を誤りやすくなります。
特に低めの球は、通過時にはゾーンでも、そのあと落ちてミットが下がるため、見た目だけでボール扱いしやすく、高めの球は逆に捕手が引き下げたミットの印象でストライクに見えやすいこともあります。
練習で大切なのは、狙った高さへ対してどの軌道で入ったかを言葉にすることで、「今のは下辺を通した」「少し高めから入りすぎた」のように、通過イメージで振り返る習慣を作ると、器具の当たり判定に頼りすぎずに済みます。
正面からの動画や横からの動画を短く撮り、ネットに当たる瞬間ではなく途中の軌道を見るようにすると、単純な命中ゲームではなく、実戦へつながる高さの理解が深まります。
練習目的ごとにゾーンを分けない
ストライクゾーンの高さを再現できても、すべての練習で同じ枠を同じように使うと、投手練習、打撃補助、コントロール矯正という目的差が消え、何を伸ばしたいのかがぼやけてしまいます。
たとえば四隅へ投げ分けたい日と、まず真ん中へ集めたい日では必要な枠の使い方が違い、低めを意識させたい日と、高めに抜ける癖を直したい日でも、基準にする線は変えたほうが成果が出やすくなります。
| 目的 | 意識する高さ | 器具の使い方 |
|---|---|---|
| 基礎の再現 | 真ん中中心 | 広めの枠 |
| 低め強化 | 下限付近 | 下半分を使う |
| 高め修正 | 上限直下 | 上辺の外し方を見る |
| 投げ分け | 上下左右 | 分割ターゲットを使う |
器具を一つ買っただけで万能化しようとせず、その日のテーマに合わせて使い分ける意識を持つと、同じ用品でも練習の質をかなり引き上げられます。
自宅とチームでの活用法
ストライクゾーンの高さを再現できる練習用品は、投手だけのものではありません。
使い方を工夫すれば、打撃補助や球の見極め、保護者のサポート、チーム内の共通言語作りにも役立ちます。
ここでは自宅練習とチーム練習の両方で無理なく続けやすい活用法を紹介します。
投手練習では高さより再現率を記録する
投手練習でストライクゾーン器具を使うときは、何球当たったかだけで評価するより、狙った高さへどれだけ同じ形で投げられたか、外したときに上へ抜けたのか下へ外れたのかを記録したほうが、修正ポイントが明確になります。
特にコントロールが不安定な段階では、四隅を狙わせる前に、真ん中の帯へ連続して通せるか、高めと低めを二択で投げ分けられるかという順序で難度を上げると、フォームを崩しにくくなります。
自宅なら10球単位で「真ん中6、高め2、低め2」のように課題を分け、結果をノートへ残しておくと、単なる体感ではなく再現率の推移が見え、器具を置く意味がぐっと高まります。
高さ合わせができた練習用品は、精密な的当てよりも、同じリリースで同じ高低へ集める力を育てる道具として使うと、本番で崩れにくい土台を作りやすくなります。
打撃補助では見極めの練習にも使える
ストライクゾーンの高さを再現した器具は、投げる側だけでなく打つ側にも有効で、打者が自分の高めと低めを理解し、振るべき球と見送る球の境界を学ぶ補助として使うと、実戦感覚に近い練習ができます。
特に少年野球では、打てるかどうかより先に「どの高さなら振ってよいか」が曖昧なことが多いため、枠を見ながらトスや軽い投球を受けるだけでも、選球眼の土台が作られます。
- 高めだけを見る日を作る
- 低めだけを見送る練習をする
- 真ん中とボール球を分けて覚える
- 素振り姿勢で上限下限を確認する
この使い方なら、強い打球を飛ばす広いスペースがなくても取り組みやすく、家の前や限られた室内でも、ストライクゾーンの高さを身体感覚として覚える練習にできます。
打撃側が自分のゾーンを理解すると、投手側も「相手にとってどこが高めか」を考えやすくなり、器具がチーム全体の戦術理解にもつながっていきます。
チーム共有では数字より言葉をそろえる
チームで一台の器具を回す場合、細かな高さ数値を全員が覚えるのは難しいため、「前足の膝より少し上」「上限のひとつ下」「真ん中帯」「見逃しやすい低め」のように、共通で伝わる言葉をそろえたほうが運用が安定します。
言葉がそろっていないと、指導者ごとに「高め」「ボール半個分上」「ベルト付近」など表現が変わり、選手も器具担当者も混乱しやすく、せっかくの高さ調整機能を生かし切れません。
| 共有したい言葉 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 真ん中帯 | まず集める高さ | 基礎練習 |
| 上限直下 | 高めの有効帯 | 高め修正 |
| 下限付近 | 低めの境界 | 低め練習 |
| ボール上 | 明確な外れ | 見極め練習 |
器具の性能を高めるより先に、チームで同じ言葉を使えるようにするだけでも、練習のテンポと理解度はかなり上がるので、導入初期こそ言語化を丁寧に行う価値があります。
ストライクゾーンの高さを練習に落とし込む視点
ストライクゾーンの高さは固定の数字ではなく、打者の体格と構えによって上下が決まるため、練習用品を選ぶときも、まずは誰のゾーンを再現するのかを決めることが出発点になります。
そのうえで、高さ調整のしやすさ、再設定のしやすさ、枠の見やすさ、設置性と安全性を確認すれば、単なる的当て用品ではなく、実戦に近い高低感覚を育てる道具として活用しやすくなります。
特に少年野球や家族共有では、成長差と体格差が大きいぶん、固定寸法へ頼るほどズレが広がりやすいため、テープの目印や共通言語を使って設定を更新し続ける運用が欠かせません。
「何cmか」を探して終わるのではなく、「この選手にとっての上限と下限をどう再現するか」まで考えられるようになると、ストライクゾーンの高さは観戦の知識ではなく、上達へ直結する実践知へ変わっていきます。


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